口腔機能低下症 oralfrail
お口の若さを保って一生楽しい生活を
「オーラルフレイル」という言葉を知っていますか?
「オーラル=口腔の」「フレイル=虚弱」という言葉の通り、お口の機能低下を意味します。お口の機能は食事・会話・呼吸など、生活と密接に関係します。年齢を重ねたら、歯の健康に加え、お口の機能自体が弱っていないかもチェックしましょう。
このようなことは
ありませんか?
上記は「オーラルフレイル」に当てはまります。オーラルフレイルをそのままにしてしまうと、「口腔機能低下症」という病気にもつながってしまいます。
「フレイル」とは?
加齢により、筋力、認知機能、社会とのつながりなどといった心身の活力が低下した状態を「フレイル」といいます。このフレイルは要介護予備群として、また、健康寿命延伸のキーワードとしても近年注目されています。 フレイルは「健康」と「要介護状態」の間の状態であり、要介護になる危険性が高まるだけでなく、健康長寿を短くする要因ともいわれています。身体の衰えだけではなく、心や社会性の衰えも含まれ、多面的な特徴があります。 一般的には、筋力など身体機能の低下より先に、他者との交流が減ったり、口の機能が衰えたりすること(オーラルフレイル)などから始まることが多いといわれています。
フレイル予防の
3つの柱
他者とのつながりが少なくなったり、食事を1人でとるようになったりして社会性が低下すると、「フレイル」から「要介護状態」ヘと悪化するきっかけになるといわれています。いち早くこの状態に気づいてフレイル対策を行うことは、健康寿命を延ばすことにつながります。
▶栄養・お口のチェック
①食事
シニア世代の方がタンパク質不足になると、筋肉が衰えてフレイルに陥りやすく、運動・認知機能が低下しやすくなります。タンパク質不足を防ぐために、1日3食の中でタンパク質をバランスよく摂りましょう。
②お口の機能の定期的なチェック
加齢で歯や歯ぐきが弱くなり、噛む機能が低下すると、肉や繊維質の野菜など、硬めの食材が食べづらくなります。柔らかいものばかりを選んで食べていると、ますます噛む機能が低下して食事の質が低下してしまいます。定期的に歯科検診を受けて、お口の機能低下を予防しましょう。
▶身体活動
①よく歩く
②簡単な筋肉トレーニング
なるべく徒歩で出かけたり、階段を積極的に上り下りすることなどを意識して行い、運動する時間を増やしていきましょう。
また、歩く時は身体をしっかり伸ばし、歩幅を大きくすることを心がけると、全身の筋肉を効率よく使うことができます。
▶社会参加
①一緒に食事
②前向きな社会参加
ご家族やご友人と一緒に食事をすると、楽しく食べられて食欲が高まります。それにつれて品数も増え、多くの栄養を摂ることにつながる傾向があり、栄養不足になることを避けることができます。
また、自分が得意なことや、できることを見つけて地域のボランティアなどに参加してみましょう。活力がみなぎり、心身ともに調子がよくなることを感じることができます。
「オーラルフレイル」とは?
お口の機能の衰えが軽視されないように、お口の機能低下、食べる機能の障害、さらには、心身の機能低下までつながる「負の連鎖」に警鐘を鳴らすための概念です。
口腔機能低下は
心身機能の低下にも
つながる
お口の機能低下により、硬いものが食べづらくなり、柔らかいものばかり食べるようになると、さらにお口の噛む機能が低下する「負の連鎖」が生じます。口腔機能の低下から心身の機能低下につながっていく傾向があるので、少しでもお口の衰えを感じたら要注意です。
口腔機能低下症の
診断
2016年に日本老年歯科医学会が発表した、新たな疾患概念です。2018年4月より保険診療となりました。 該当する主な症状は、以下の7つの項目があります。このうち3つが当てはまると、口腔機能低下症と診断されます。
- 口腔衛生状態不良(口腔不潔)
- 口腔乾燥
- 咬合力低下
- 舌口唇運動機能低下
- 咀嚼機能低下
- 嚥下機能低下
- 低舌圧
口腔機能低下症になっているにも関わらず治療しないままでいると、嚥下障害や咀嚼機能不全などの口腔機能障害になってしまいます。これは専門性の高い歯科医師しか対応できない病気で、ここから口腔機能低下症の状態に戻すことは不可能になってしまいます。口腔機能低下症の段階で、早めに治療を始めましょう。
オーラルフレイルの
予防から
はじめましょう
「ささいな衰え」を見逃さずに、健康寿命を延ばしましょう